遺留分制度

問題になるのは、遺言書が残された時

遺言者太郎さんと直子さんの間に子はいません。しかし太郎さんは再婚で、前妻との間に優子さんと武さんという2人の子がいます。このような遺言がある場合、優子さんと武さんは太郎さんの子であるにもかかわらず、なにも相続できないのでしょうか?

民法では遺言によって法定相続分を下回る相続分となった場合に、一定の割を請求できる「遺留分」という制度があります。

優子さんと武さんは、直子さんに対し遺留分減殺(げんさい)請求することにより、遺産の一部をもらうことができるのです。

遺留分は請求することにより生じる権利

遺言のない相続の場合、どこかに何かを申し出なくても相続が発生することにより、当然に法定相続分で相続する権利が生じています。
ところが遺留分は「請求して初めて発生する」権利なのです。このため優子さんと武さんが、遺留分を受け取りたい場合、妻の直子さんに対して「私はあなたに遺留分を請求する」と伝えなくてはいけません。
これを「遺留分減殺請求」といいます。

遺留分減殺請求の期限は知ったときから1年

遺留分の請求には期限があります。遺留分は、自分の相続分を侵害する遺言書の存在を知ったときから1年以内に請求しなくてはいけません。
1年以内に請求しない場合は、権利が消滅してしまいます。相続発生から10年経過した場合も、権利が消滅します。